整形外科の主な疾患
腰や背中の痛み
股関節(ももの付け根)の痛み
すねの痛み
- シンスプリント(脛骨過労性骨膜炎)
- 脛骨・腓骨疲労骨折
- ふくらはぎの肉離れ
足首・足の痛み
- 捻挫
- 足関節果部骨折(脱臼骨折)
- 足底筋膜炎
- 扁平足
- アキレス腱付着部炎
- アキレス腱断裂
- 距骨骨軟骨損傷
骨粗鬆症の診断・治療
骨粗鬆症の診断
問診で症状や不調の有無、その内容、既往症や処方されている薬などについて伺います。検査は骨密度測定に加え、X線撮影、血液・尿検査などを行い、結果を総合的にみて診断しています。当院の骨密度測定は腰椎・大腿骨で検査します。
骨折で受診された場合には、骨粗鬆症が疑われる脆弱性骨折ではないかを確認することが重要です。骨折は激しい衝撃によって生じますが、脆弱性骨折は通常であれば骨折しない軽い衝撃で生じます。
脆弱性骨折である場合には骨粗鬆症診断の検査を行い、骨折治療に加えて骨粗鬆症の治療も行います。
骨粗鬆症の予防と治療
骨粗しょう症の治療の目的は、骨折を防ぎ生活の質を維持することです。そのためには、骨密度を増やして骨を丈夫にすることと、骨折の原因となる転倒をしない体づくりが大切です。 治療法としては、「運動」「食事の改善」「薬」の3つがあります。骨折のしやすさの程度などにより最適な治療法を提案いたします。 ここでは当院で受けていただける薬物療法について説明します。
薬物療法
骨粗鬆症の薬は、破骨細胞と骨芽細胞の働きのバランスを整えます。次の3つのタイプがあります。
- 骨吸収(古くなった骨を壊す)を抑える薬
- 骨形成(新しい骨を作る)を促進する薬
- 骨に必要な材料を補充、または作りかえのバランスを整える薬
多くの薬の中から、患者さんの「骨折のしやすさ」、「年齢」、「生活様式」などに合わせて選択します。また、骨折した部位によっても適した薬が異なるため、総合的に判断して使います。
骨粗鬆症の薬は、正しい用法で継続して使えば骨密度を高めて骨折の危険性を減らす効果があります。基本的に、骨脆弱性骨折を起こした人、骨量を減らすような病気のある人、運動や栄養の摂取が不足している人は、薬を続ける必要があります。
1 骨吸収(古くなった骨を壊す)を抑える薬
骨を壊す働きを抑える薬は、破骨細胞が骨を壊す働きを抑える作用があり、骨が作られる働きとのバランスを保ちます。「ビスホスホネート」、「デノスマブ」、「SERM(ザーム)」があります。
ビスホスホネート
ビスホスホネートは、内服薬と、医療機関で注射するものとがあります。内服薬の中でも、週1回、月1回など服用間隔の異なるいくつかのタイプがあります。注射薬は、4週に1回、年に1回のタイプがあります。年に1回のタイプは要介護の人や認知症の人、また、高血圧や糖尿病など他の病気で薬を多く服用している人に適していると考えられています。
内服薬のビスホスホネートを使用する場合、服用前後には空腹状態にしておく必要があり、服用後も30~60分間は上体を起こしておかなければなりません。
もし服用前後に食事をすると、薬の吸収が低下し治療効果に影響を及ぼします。また、服用してすぐ横になると薬の成分が逆流し、食道が炎症を起こしたり、潰瘍ができたりする恐れもあります。
抗RANKL抗体:デノスマブ
デノスマブは半年に1回、医療機関で皮下注射する薬です。骨密度を上げる効果は高く、比較的重症の方に使われます。投与間隔が長いのが特徴です。
SERM(選択的エストロゲン受容体作動薬)
SERMは破骨細胞の働きを抑える女性ホルモンであるエストロゲンと似た作用があります。骨折のリスクがあまり高くない、閉経後の50~60歳代の女性に多く使われています。
2 骨形成(新しい骨を作る)を促進する薬
「副甲状腺ホルモン薬」には骨芽細胞を活性化させて骨形成を促す作用があり、骨量を増やします。週に1回、医療機関で注射するタイプと、毎日1回、もしくは週2回自己注射するタイプがあります。骨折が複数ある場合や、骨密度の低下が強い場合に使われる薬です。使用できるのは生涯で最長24か月間です。
「1骨吸収を抑える」と「2骨形成を促進する」の2つの特徴をあわせ持つ、抗スクレロスチン抗体:ロモソズマブという月1回の注射薬も新たに登場しました。(脳血管障害、虚血性心疾患のある場合には注意が必要です。)基本的には1年間(12回)行います。
3 骨に必要な材料を補充、または作りかえのバランスを整える薬
骨に必要な成分を補充したり、骨代謝をサポートしたりする薬です。「活性型ビタミンD3薬」は破骨細胞の働きを抑えて骨を壊す作用を抑制します。また、小腸からのカルシウム吸収を促し、骨を作る働きも促進します。
副作用について
一部のビスホスホネートに吐き気や胃痛などの消化器症状が、SERMでは更年期障害の悪化がみられることがあります。一方、ビタミンD3薬は、重大な副作用は少ないですが高カルシウム血症になっていないかのチェックが必要です。
また、骨を壊す働きを抑えるビスホスホネートやデノスマブ、ロモソズマブの副作用として、ごくまれに抜歯などの歯科治療時に顎の骨が壊死(えし)するケースが報告されています。歯科治療を受ける際には、骨を壊す働きを抑える薬を使っていることを伝え、口腔の衛生管理に努めてください。また、まれですが、非定型大腿骨骨折もみられます。
よくある腰痛のお悩みについて
腰には常に上半身の重みがかかっていることから痛みなどの不調を起こしやすく、直立二足歩行をする人類にとって腰痛は宿命的な症状と言われることもあります。当院ではできるだけ早く症状を緩和できるよう、患者様の状態や症状にきめ細かく合わせた薬物療法を行っています。また超音波(エコー)ガイド下注射、ハイドロリリースなども可能です。
さらに、当院では繰り返す腰痛の根本的な改善と再発防止のために、体幹や下半身の筋力や全身の柔軟性アップにつながる効果的なトレーニングの指導もしっかり行っています。その時点で最適なメニューを組んで丁寧な指導を行い、日常生活での注意点なども具体的にお伝えしています。