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授乳中の腱鞘炎

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 赤ちゃんの誕生は喜びに満ちた瞬間ですが、赤ちゃんとの生活がスタートすると、手首の痛みが気になる方も多いのではないでしょうか?特に授乳や抱っこを繰り返す中で感じる手首の痛みは、「腱鞘炎」が原因かもしれません。腱鞘炎は、育児中の動作やホルモンの影響が重なることで起こりやすい症状です。この記事では、腱鞘炎の原因や授乳期特有の影響、そして予防・改善のためのポイントを分かりやすく解説します。


 

腱鞘炎とは?

腱鞘炎は、手首や親指周辺の腱を覆う「腱鞘」が炎症を起こし、痛みや腫れを引き起こす状態を指します。授乳中の女性には「ドゥ・ケルバン腱鞘炎」と呼ばれるタイプが特に多く見られ、手首の親指側に痛みが生じます。

 


 

1. 授乳中の姿勢が引き起こす腱鞘炎

授乳時には、赤ちゃんの頭を支えるために親指を広げたり、手首を不自然な角度に曲げることがよくあります。これにより手首や親指の腱が過剰に使われ、腱鞘に負担がかかります。また、赤ちゃんを抱っこしたまま長時間同じ姿勢を保つことで、腱鞘内の血流が悪化し、炎症を引き起こしやすくなります。

 


 

2. ホルモンの影響と腱鞘炎

妊娠や授乳期には、リラキシンやプロゲステロンといったホルモンが分泌される一方で、産後エストロゲン分泌量が急激に低下することも見逃せません。

  • リラキシン:関節や靭帯を柔軟にする作用があり、手首や親指周辺の安定性が低下することで、腱鞘炎のリスクが高まります。
  • プロゲステロン:体内の水分保持を促し、むくみを引き起こしやすくなります。これにより腱鞘内の圧が上昇し、腱や腱鞘への負担が増加します。
  • エストロゲンエストロゲンは、関節や腱周囲組織の健康を支える重要なホルモンであり、その減少は滑膜炎の発症リスクを高める要因となることが分かっています。滑膜炎は腱鞘炎の主要な原因の一つであり、特に授乳期の女性では以下のようなメカニズムが関与していると考えられます。  

 

    1. エストロゲンと滑膜の役割 滑膜は腱鞘の内側を覆う薄い膜で、腱がスムーズに動くための潤滑液を分泌します。エストロゲンはこの滑膜の正常な機能を維持する役割を果たし、抗炎症作用を持つことでも知られています。授乳期にエストロゲン分泌が低下すると、滑膜の機能が低下し、炎症を起こしやすい状態になります。
    2. 滑膜炎が腱鞘炎を引き起こすメカニズム 滑膜が炎症を起こすと、腱鞘内に腫れや痛みが生じます。これが腱の動きを妨げ、さらに腱鞘の摩擦やストレスを増加させる悪循環に繋がります。特に授乳中の動作(抱っこや授乳時の手首の角度)により、滑膜炎が進行しやすくなることが指摘されています。
    3. エストロゲン低下と修復力の低下 エストロゲンはコラーゲン生成を促進し、腱や滑膜の修復力を高めますが、授乳期のホルモン低下により修復能力が低下し、炎症が長引く原因となります。

 

ホルモンが直接炎症を引き起こすわけではありませんが、腱鞘炎を発症しやすい状態を作り出す要因として働きます。

 


 

3. 育児による負担の積み重ね

授乳だけでなく、頻繁な抱っこやオムツ替え、家事など、育児期には手首を酷使する動作が日常的に増えます。これらの積み重ねが腱鞘炎の症状を悪化させる一因となります。

 


 

腱鞘炎を予防・改善する方法

腱鞘炎を予防・改善するためには、次のような対策を取り入れることが効果的です。

  1. 授乳クッションの活用:赤ちゃんの体重を直接支えず、手首の負担を軽減します。
  2. 正しい抱っこの姿勢:手首を極端に曲げない、親指に過剰な力を入れないように心がけます。
  3. ストレッチと休息:授乳の合間に手首や親指をストレッチし、負担を軽減します。
  4. サポーターの使用:親指や手首の動きをサポートする装具を使うことで、痛みを和らげることができます。
  5. 早めの専門医相談:症状が続く場合は、整形外科での診察を受けましょう。

 


 

まとめ

 腱鞘炎は授乳期のママたちにとって身近な問題です。原因としてホルモンの変化や育児特有の姿勢が複合的に関与しており、日々のケアと適切な対策で予防・改善が可能です。育児は体力的にも大変ですが、手首のケアをしながら健康を保ち、快適な育児生活を送りましょう。気になる症状がある場合は、当院までお気軽にご相談ください。

 

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