足の痛みや不快感を訴える患者様の中には、「扁平足」「回内足」「足底腱膜炎」といった診断を受ける方が多くいらっしゃいます。これらの状態はそれぞれ異なる特徴を持ちながら、密接な関係があります。本記事では、これらの足の状態について解説し、治療の選択肢についても触れていきます。
扁平足とは
扁平足(へんぺいそく)は、足のアーチ構造が破綻し土踏まずがなくなっている状態を指します。正常な足では、内側縦アーチが足の荷重を分散し、歩行時の衝撃を吸収する役割を果たします。しかし、扁平足ではこの機能が損なわれるため、足や脚に過剰な負担がかかり、痛みや疲労感を引き起こします。
原因
- 遺伝的要因
- 筋力の低下(特に後脛骨筋の機能不全)
- 過剰な体重
- 長期間の過剰な歩行や立ち仕事
症状
- 足底や足首の痛み
- 長時間の歩行や立位時の疲労感
- 靴の外側の摩耗が増える
回内足とは
回内足(かいないそく)は、足が内側に傾いた状態を指します。足が回内することで、荷重が足の内側に集中しやすくなり、足底腱膜やその他の組織にストレスを与えます。
過回内は足底腱膜炎、シンスプリント、後脛骨筋腱炎、有痛性外脛骨、種子骨障害、中足骨痛症などの様々な足部疾患のリスクを高めます。
足底腱膜炎とは
足底腱膜炎(そくていけんまくえん)は、足の裏にある強靭な組織「足底腱膜」に炎症が生じた状態を指します。特に、かかとの骨(踵骨)の付着部で痛みが発生します。
原因
- 過度の運動
- 不適切な靴
- 扁平足や回内足など、足のアライメント異常
症状
- 朝起きた直後や休息後にかかとの痛みが増す
- 長時間の歩行や運動で症状が悪化する
扁平足・回内足と足底腱膜炎の関係
扁平足や回内足があると、足底腱膜に過剰な伸張ストレスがかかりやすくなります。この負担が慢性的に続くことで炎症が生じ、足底腱膜炎を発症するリスクが高まります。
また、回内足では足首や膝、股関節にも影響を与えることがあり、全身の姿勢や動きにも問題を引き起こすことがあります。
治療法
1. 保存療法
- 適切なインソールの使用
アーチサポートが付いたインソールは、足の形状を補正し、足底腱膜への負担を軽減します。 当院ではmysoleさんや小柳補装具さんへ委託し医療用インソールを作成しています。 - ストレッチとエクササイズ
足底腱膜やふくらはぎの筋肉をストレッチすることで柔軟性を向上させ、症状を緩和します。 - 生活習慣の改善
適切な靴選び、体重管理、過度な運動の回避が重要です。
2. 理学療法
- 足底筋群や後脛骨筋の強化エクササイズを取り入れることで、アーチの安定性を改善します。
- 超音波治療や低周波治療が炎症を軽減する場合もあります。
3. 薬物療法
- 痛み止め(非ステロイド性抗炎症薬・NSAIDs)の使用は、一時的な痛みの軽減に有効です。
4. 手術療法(保存療法で効果がない場合)
- アーチを再構築する手術や、足底腱膜の緊張を緩める手術が考慮されます。
まとめ
扁平足、回内足、足底腱膜炎は互いに関連性が深いことが多いです。早期の診断と適切な治療が、長期的な足の健康維持につながります。足に痛みや違和感がある方は、ぜひ当院にご相談ください。最適な治療プランをご提案いたします。