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女性ホルモンとヘバーデン結節の関係

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 指の関節が腫れたり、変形して痛みを感じる「ヘバーデン結節」。特に中高年の女性に多く見られるこの症状は、女性ホルモンの変化と深く関連しています。この記事では、ヘバーデン結節の原因、女性ホルモンとの関係、そして漢方薬を活用した治療法についてわかりやすく解説します。


 

ヘバーデン結節とは?

ヘバーデン結節は、指先の関節(DIP関節)に起こる変形性関節症です。

 

主な症状

  • 指の第1関節の腫れや痛み
  • 関節が硬くなる、または変形が進む
  • 痛みが治まった後も変形が残ることがある

 

病態:なぜ起こるのか?

  1. 軟骨の摩耗:関節を保護する軟骨が摩耗し、骨同士が直接接触することで炎症や変形が進みます。
  2. 滑膜炎の発生:軟骨の摩耗により関節内で炎症が生じ、滑膜が腫れて痛みや腫れを引き起こします。
  3. 骨棘(こつきょく)の形成:炎症が続くと、関節周囲に骨の突起が形成され、さらに変形を助長します。

 

 


 

女性ホルモンとヘバーデン結節の関係

ヘバーデン結節が女性に多く見られるのは、女性ホルモン(エストロゲン)の影響が大きいからです。

●エストロゲンと滑膜機能の関係

  1. 炎症抑制効果
    エストロゲンには滑膜の炎症を抑える作用があり、このホルモンが減少すると滑膜炎が起こりやすくなります。

  2. 滑液分泌の促進
    エストロゲンは、滑液(関節の潤滑液)の分泌をサポートします。ホルモンの低下は滑液の減少を招き、関節の摩擦や損傷を増加させます。
  3. 骨や軟骨の保護作用
    エストロゲンは軟骨や骨を保護する働きも担っていますが、その減少により関節構造が弱くなり、変形が進む原因となります。

 

閉経のリスク

閉経の頃エストロゲンの分泌が急激に減少することで、ヘバーデン結節の発症リスクが高まります。これは滑膜炎や軟骨の劣化が進行しやすい状態になるためです。

 


 

治療と管理方法

1. 痛みの軽減

  • 抗炎症薬(NSAIDs):滑膜炎による痛みや腫れを抑えるために使用します。
  • 漢方薬による治療:全身の体調を改善しながら、関節症状を和らげる効果が期待できます。
  • 温熱療法:関節を温める・冷やさないことで血流を改善し、痛みを和らげます。

 

2. 指の負担を軽減

  • 装具の活用:テーピングや指の関節用の固定具で関節を保護します。
  • 日常生活の工夫:重いものを持つ際は手の全体を使い、指先に負担をかけないようにします。

 

3. ホルモン補充療法(HRT)

  • エストロゲンを補充することで滑膜炎や軟骨摩耗を軽減する可能性があります。当該科へ紹介します。

 

4. エクオールの活用

エクオールは、大豆由来の成分でエストロゲンに似た作用を持ち、滑膜炎の炎症抑制や痛み軽減が期待されます。エクオール産生能のない方でもサプリメントで補うことが可能です。当院でもお取り扱いがございます。

 

5. 運動療法

  • 軽い指のストレッチや可動域を保つ運動を取り入れ、関節の硬化を防ぎます。

 


 

予防のポイント

  1. 適切な食事
    骨や関節を強化するために、カルシウムやビタミンD、オメガ3脂肪酸を含む食品を積極的に摂取しましょう。

  2. 日常生活の注意
    手指を過度に酷使しないようにし、適度な休息を取り入れます。

  3. 早期診断
    指の痛みや腫れを感じたら早めに専門医を受診し、進行を防ぎます。

 


 

まとめ

ヘバーデン結節は、女性ホルモンの減少や滑膜炎が深く関与する疾患です。ホルモン補充療法の代替として、漢方薬を活用する治療は、全身のバランスを整えながら症状を緩和する有効な方法です。当院では、漢方薬を含む用お薬による治療や生活指導を通じて、患者さま一人ひとりに合ったケアを行っています。気になる症状があれば、ぜひお気軽にご相談ください。

 

 

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