凍結肩とは
いわゆる”四十肩・五十肩”(肩関節周囲炎)の症状が長期間続くと、関節包が分厚くなって癒着し、肩が上がらなくなる凍結肩(フローズンショルダー)を起こします。
凍結肩の治療
機能の回復を図るためには、健康保険適用のサイレントマニュピレーションによって関節包の癒着をはがした上で、最低でも3か月程度のリハビリテーションが必要です。
サイレントマニュピレーション(非観血的関節受動術)は、超音波画像を確認しながら行う超音波(エコー)ガイド下の治療です。肩の動きを回復させるために、肩周辺の神経に麻酔を施してから硬化・癒着している関節包などをはがします。外来で受けられる健康保険適用の治療であり、手術ではありません。
四十肩・五十肩に似ている疾患(腱板損傷・断裂)
腱板損傷・断裂腱板は4つの筋肉の腱が板状になって肩を安定させています。腱板損傷・断裂は腱板が擦り切れて損傷や断裂を起こしている状態です。強い痛みや腕を上げられないなど、いわゆる”四十肩・五十肩”(肩関節周囲炎)と似た症状を起こしますが、腱板損傷・断裂では組織が損傷しており、断裂している場合には手術が必要なケースも多くなっています。四十肩・五十肩のような症状があった場合、整形外科を受診して正確な診断を受けることが重要です。
なお、腱板損傷・断裂では、腱板の断裂があっても痛みを伴わないケースがあり注意が必要です。
腱板損傷・断裂の主な原因
加齢:60歳を過ぎると徐々に生じてくる。
外傷:転倒や衝突により腕の強い捻転強制や打撲で生じる。
スポーツ障害:テニスや野球、バレーボールやウエイトトレーニングなど肩を酷使することで生じる。
が、上げられます。
小さい断裂であれば疼痛を引き起こし、時間経過とともに大きな断裂になると筋力低下を自覚します。夜間に痛みを生じることが比較的多く、それが強ければ睡眠障害となり心身の健康を害すこともあります。一般的に"五十肩"としてのみ扱われ疼痛に対する対症療法しか施されない場合もあります。
診断
肩関節の可動痛(動かすと痛い)、引っかかり(インピンジメント:動作の途中で引っかかる)が特徴的な症状です。症状が進行すれば筋力低下が生じ、目の高さに腕を挙上すると疼痛や脱力を自覚する場合もあります。適切な病歴の問診と診察が大切です。
画像診断では外来での超音波検査は迅速にでき有用ですし、MRI検査でより詳細な評価を行います。
※MRIによる診断が必要な場合は適切な医療機関をご紹介いたします。
治療
保存療法
痛み止めの内服や注射、運動療法が行なわれます。 注射はステロイドと局所麻酔薬、ヒアルロン酸などを肩峰下滑液包内に注射します。
腱板のすべてが断裂することは少ないので、残っている腱板の機能を賦活させる腱板機能訓練は有効です。
手術療法
保存療法で肩関節痛と運動障害が治らないときは、手術を提案いたします。多くは内視鏡を用いて腱板断裂部の修復を行います。縫合糸と人工骨でできたアンカーを用います。